保険商品の中でもっとも売れているのが医療保険。
ただ、内容云々と言うより、
「まぁ、3~4000円だし、いいか」とか
みんなが加入しているから加入しているという風潮は否めない。
果たして本当に必要なのか?いらないという意見も多い。
今回は医療保険って必要かどうか考えてみました。
そして、考えた結果
医療保険はいらない。
という考えにいたりました。その理由をお話ししていきます。
目次
それれぞれの理由
必要なのか、いらないかを考えるためにまずは、
巷にあふれるそれぞれの理由を整理してみました。
必要な理由
- 急に病気になったら困る
- 老後の医療費が心配
- 働けなくなった時の為に
いらない理由
- 公的医療保険で十分
- インフレに勝てない
- 収入の補填にはならない
必要な理由としては、急な出費に対する不安であったり、老後の医療費に対する不安、収入がなくなるのではと言う不安があるようです。
それに対していらない理由は、急な出費があったとしても公的保険で十分で、老後の蓄えや収入を補填する能力は低いというものがあるようだ。
見極めるポイントは3つ
そこで、必要かどうかを見極めるポイントは以下の3つになる。
- 医療費はいくら掛かって公的医療保険で十分なのか?
- 何十年後の蓄えとして機能するのか?
- 働けなくなった場合にはどうなるのか?
医療費はいくら掛かって公的医療保険で十分なのか?
医療費はどれくらい掛かるか?
厚生労働省の「医療給付実態調査 平成26年度」「患者調査 平成26年」の
データをまとめてみるとおおよその数字として以下の数字が出てくる。
病名 | 平均入院日数 | 平均治療費 |
がん | 20日前後 | 100万円程度 |
急性心筋梗塞 | 10日前後 | 75万円程度 |
脳卒中 | 30日前後 | 125万円程度 |
この数字を見ると
「え!?急に100万円なんて用意できないよ!」
という気分になってきますが、これはあくまでも治療費の総額であって実際に病院へ支払う金額とは異なります。
公的医療保険に必ず加入しているのでこのうちの3割が自己負担額となります。
また、高額療養費制度へ申請することにより更にこの一部が戻ってきます。
一般的な所得の人ならば
100万円の治療費が掛かったのであれば、その3割の30万円を一度支払って、
約21万円戻ってきます。
実際に掛かる医療費は約9万円です。
7割は公的医療保険から支払われる
実際の負担額は原則医療費の3割。
7割は公的医療保険から病院へ支払われます。
皆さんも一度は病院を利用したことがあると思います。
誰でも知っている話ですよね。
しかし、こと民間の医療保険を検討する時にこの大原則を抜きに考えていることが多いのは本当に不思議な話です。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、申請することにより一度支払った医療費の一部が戻ってくる制度です。
上記にあるように1度は3割にあたる医療費は病院へ支払わなければなりませんが、
1カ月あたりの医療費の自己負担額には上限があり、
申請することにより支払った3割の医療費部分から一部が戻ってきます。
高額療養費制度について詳しくは
国民皆保険制度
国民皆保険制度とはすべての国民がなんらかの医療保険に加入し、
加入者が保険料を出し合い病気やケガの時に等しく医療が受けれるようにする制度です。
日本人である限り、必ずなんらかしらの公的医療保険に加入しています。
公的医療保険の種類
国民健康保険
自営業者の人や無職の人とその家族が加入
協会けんぽ(全国健康保険協会)
中小企業のサラリーマンとその家族が加入
組合健保
大企業のサラリーマンとその家族が加入
共済組合
公務員や私立学校の職員とその家族が加入
治療費以外に掛かる費用
差額ベッド代、食事代(1食につき460円、1日1380円)、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品費などがあげられる。
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」/平成28年度によると、入院時の自己負担費用の平均は治療費も含めて約22万円です。
見極めポイント①まとめ
治療費が100万円掛かったとしても治療費の自己負担額は約9万円。
その他の費用を含めると平均約22万円。
ただ、その他の費用に関してはこの調査結果よりも少なく見積もってもいいのではないかと思う部分もあります。
その理由としては、差額ベッド代は必ず掛かるものではありませんし、調査の内容に少し疑問もあります。
入院してない場合でも食費や日用品費は掛かりますし、普通に生活した時にも発生するお金が自己負担費用として計算されているような気がします。
とはいえリスクの根拠となる数字はこの22万円しかないので、この22万円をどうするべきか考えましょう。
22万円を民間の医療保険に頼る必要があるのか?一つ目の見極めポイントです。
何十年後の蓄えとして機能するのか?
お金の価値は変わる
同じ100円でも30年前と現在では買える物が違います。
30年前であれば100円で買えたジュースも今では160円くらいになっています。
このようにお金の価値は常に変わっていきます。30年前と比べて100円の価値は60円程度になったという事です。
お金の価値が変わるについて詳しくは
望んでいる医療が受けられるとは限らない
例えば、入院日額5000円、手術給付金10万円、20日入院とすると給付される額は20万円です。
ジュースのような物価上昇が起こったとすると30年後に受け取る額は、現在の価値に直すと12万円です。
そうなると、現在の価値で受けられる医療が受けられない可能性もあります。
見極めポイント②まとめ
実際にどのような物価上昇が起こるかは分かりません。
ただ、デフレデフレと言われていたこの30年間ですら、物価は上昇しています。
そのことを考えると基本的には物価は上昇していくものだと思った方が良いでしょう。
お金の価値が変わっていく中で将来役に立つのか?二つ目の見極めポイントです。
働けなくなった場合にはどうなるのか?
サラリーマンは心配いらない
健康保険に加入しているサラリーマンが病気やケガで4日以上継続して働くことができない状態で休んだ場合には
「傷病手当金」が支給されます。
給付される額は、支給開始日以前の継続した12カ月の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3です。
支給される期間は最長1年6カ月です。
見極めポイント③まとめ
自営業者の場合、病気やケガで休んでいる間の収入が“0”になってしまう可能性があります。
収入の補填として民間の医療保険が必要なのか?三つ目の見極めポイントです。
まとめ
- 自己負担額の平均22万円を民間の医療保険に頼る必要があるのか?
- お金の価値が変わっていく中で将来役に立つのか?
- 収入の補填として民間の医療保険が必要なのか?
実際にかかる額を想定してみてもこの程度であれば、自分の貯蓄で対応した方が合理的です。
民間の医療保険はインフレに弱く、将来の医療費も貯蓄などで用意した方が選択の幅も拡がると思う。
サラリーマンであれば収入の心配もそこまでする必要はない。
自営業者であったとしても、
入院時にしか対応できない医療保険で収入の補填をするよりも
働けない状態が続くことで給付される就業不能保険などで対応した方がこれもまた合理的だ。
以上のことから当サイトの見解としては、
医療保険はいらない。
となりました。
ちなみに
12年前に出版された本にあるデータと比べて、
入院日数や治療費が2/3~1/2程度まで減っていることに気づきました。
入院日数や治療費を抑える方向にあるとは言われていましたが、
10年でここまで低減されていることに驚きました。
国の財政などを考えても今後もこの方向性は変わらないと思います。
現在の民間の医療保険は入院日数が給付金計算のベースとなるので、
将来にはますます給付額は減るということになります。