こんにちは!ほけん道場講師のリョウです。
保険を検討していて、特に医療保険について調べていると、よく耳にする「三大疾病」。
なんだか聞いたこともあるし、特に注意するべき病気、みたいなイメージはあるけど、
実はよく分からない、「三大疾病ってなんだ!?」という人のための記事です。
三大死因としての三大疾病と、生命保険会社が使う「三大疾病」には違いがあります。
この違いを知らないと、トラブルのもとになりかねなないので、しっかりチェックしましょう。
そんなことを含めた、三大疾病と生命保険がどんな関係があるのかも説明しています。
この記事では下記の内容を解説します。
- 三大疾病とは?
- 三大疾病と生命保険
三大疾病とは?
三大疾病とは、悪性新生物(がん)、心疾患、脳血管疾患のことです。
この3つの病気で日本人の死因の50%を超えています。
死因の上位3位にあることから「三大疾病」と呼ばれています。
日本人の死因
- 第1位 悪性新生物(がん) 27.9%
- 第2位 心疾患 15.3%
- 第3位 脳血管疾患 8.2%
- 第4位 老衰 7.6%
- 第5位 肺炎 7.2%
- 第6位 不慮の事故 3.0%
各年代の死亡率が気になったら→【関連記事】30歳の死亡確率はどれくらい?生命保険の検討で気になるところ
悪性新生物(がん)
悪性新生物(あくせいしんせいぶつ)とは、いわゆる“がん”と呼ばれるものです。
がんは、遺伝子が傷つき、細胞の一部が変異して起こります。
細胞は通常の生活を普通に送っていても、刺激や毒性のあるものから攻撃を受けていますが、細胞には攻撃を受けて傷ついても元通りに自己回復する力があります。
しかし、その回復力を超えるダメージを受けると、回復できず、正常だった細胞が、がん細胞に変わってしまうことがあります。
がん細胞は周りの正常な細胞から栄養分を奪って成長し、増殖します。
そのため、身体が衰弱し、体重が減っていくのです。
心疾患
心臓は繰り返し、縮んだり、拡がったりしながら、全身に血液を送っています。
その運動を行っているのが、“心筋(心臓の筋肉)”です。
全身に血液を送る運動をする心筋も血液からの酸素や栄養によって動いています。
それを供給するのが、心臓をとりまく“冠動脈”です。
その冠動脈に動脈硬化などが起こると、血液の通り道が細くなったり、ときには血栓ができてしまい、心筋に十分に酸素や栄養が送れなくなり、心臓の機能が停止してしまう病気。
- 狭心症
- 不整脈および伝導障害
- 心不全
- 急性心筋梗塞など
脳血管疾患
脳血管疾患とは、脳細胞に酸素と栄養を運んでいる、脳内の血管にトラブルが起こって、脳細胞が破壊される病気の総称。
主な脳血管疾患が「脳卒中」と呼ばれています。
- 脳梗塞
- 脳内出血
- くも膜下出血
脳血管疾患の内、脳卒中が約9割を占めています。
脳卒中は大きく分けると、血管が詰まる「脳梗塞」と、血管が破れる「脳内出血」や「くも膜下出血」に分けられ、脳の神経細胞に障害が残る可能性のある病気です。
他の病気に比べると死亡率や治療費が高い病気と言われています。
- 片方の手足、顔半分の麻痺・しびれが起こる(手足のみ、顔のみの場合もある)
- 呂律が回らない、言葉がでない、他人のいう事が理解できない
- 力はあるのに、立てない、歩けない、フラフラする
- 片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分が欠ける
片方の目にカーテンがかかったように、突然一時的にみえなくなる - 経験したことのない激しい頭痛がする
三大疾病の治療費
では日本人の死因の上位にある、三大疾病の治療費はどれくらいかかるのでしょうか?
厚生労働省が発表しているデータを基に試算してみました。
1日あたりの治療費 | 平均在院日数 | 平均入院日数 における治療費 |
|
がん | 50,500円 | 23.1日 | 1,166,600円 |
心疾患 | 57,900円 | 18.3日 | 1,059,600円 |
脳血管疾患 | 29,900円 | 90.9日 | 2,717,900円 |
■1日あたりの治療費
厚生労働省 医療給付実態調査 平成26年度「第3表 疾病分類別、診療種類別、制度別 件数・日数(回数)・点数(金額)」より
入院タブの「制度・計」から試算。
・がんの計算に用いた項目:201胃の悪性新生物~210その他の悪性新生物
・心疾患の計算に用いた項目:902虚血性心疾患・903その他の心疾患
・脳血管疾患の計算に用いた項目:904くも膜下出血~908その他の脳血管疾患
上記項目の合計点数を合計日数で割り、10を掛け(診療点数1点は10円)、10の位を四捨五入
■平均在院日数
厚生労働省 患者調査 平成26年 閲覧第77表「退院患者平均在院日数,性・年齢階級×傷病中分類×手術の有無別」
1日あたりの治療費で用いた同項目の手術ありと手術なしを単純平均し、小数点第二位を四捨五入
■平均入院日数における治療費
1日あたりの治療費に平均在院日数を掛けて、10の位を四捨五入
上記のデータを基に試算したものです。あくまでめやすとして見てください。
- 慌てないで
100万円や200万円という数字が出てくるとビックリしてしまいますが、
この数字は治療費の総額であって自己負担の額ではありません。
公的医療保険に必ず加入しているのでこのうちの3割が自己負担額となります。
また、高額療養費制度へ申請することにより更にこの一部が戻ってきます。
年収が約370万円~約770万円の人が、ひと月の間に100万円の治療費が掛かったとすると、
その内の3割、30万円を一度支払って、申請後に約21万円戻ってきます。
ひと月とは:その月の1日から末日までのこと。4月なら4月1日から4月30日まで。
実際に掛かる治療費は約9万円です。
高額療養費制度について詳しくは
治療費以外に掛かる費用
差額ベッド代、食事代(1食につき460円、1日1,380円)、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品費などがあげられる。
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」/平成28年度によると、入院時の自己負担費用の平均は、治療費も含めて約22万円です。
三大疾病と生命保険
生命保険会社が使う三大疾病は主にがん、急性心筋梗塞、脳卒中です。
三大死因として使われる三大疾病より、範囲が小さくなっています。
急性心筋梗塞は、心疾患の患者数の約2%
これはちょっと衝撃的な数字ですね。2割じゃありませんよ。2%ですよ。
とある生命保険会社の約款を覗いてみると、しっかりと「狭心症などは除く。」と書かれていました。
ちなみに狭心症は、心疾患の患者数の約3割強の割合です。
脳卒中は、脳血管疾患の患者数の約9割
脳卒中とは、脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血の3つの病気の総称で、脳血管疾患の患者数の約9割にあたります。
三大疾病を保障する保険
三大疾病保険は、三大疾病により生命保険会社の所定の状態になった場合や、死亡、所定の高度障害状態になったときに保険金の受け取れる保険です。
主契約としてはもちろん、特約として用意している生命保険会社も多くあります。
いずれかの条件に該当したときに1回に限り、保険金が受け取れ、契約もしくは特約は終了します。
この場合の死亡や高度障害状態の理由は、三大疾病でなくても支払事由になります。
また、保険料払込免除特約として、三大疾病により生命保険会社の所定の状態になった場合に、以後の保険料の払込が免除される特約もあります。
- 責任開始後に初めてがんと診断確定されたとき
- 急性心筋梗塞により60日以上、労働制限を必要とする
- 脳卒中により60日以上、所定の後遺症が継続したとき
保険料払込免除特約に関しては、心疾患、脳血管疾患の全体を対象にしたり、条件の幅が広い生命保険会社もあります。